↑ 汐見高台トーチカの内部
「2010~13年頃に胆振総合振興局が行った農地整備事業によって、この汐見高台トーチカは埋められて所在確認ができなくなった」との情報を複数の方からいただいた。2025年に現地調査を行ったところ、到達難易度が高くなってしまったものの、トーチカは無事に残存していることが確認できた。
マップ上のピン(赤いマーク)の位置に、汐見高台トーチカが残存している。
Google Earth Proの時間スライダで、2022年4月21日取得の衛星写真を表示すると、汐見高台トーチカの位置が明確に判別できる。
エゾシカ侵入防止柵のゲートから旧道沿いに南東側へ約260m進んだ位置に、汐見高台トーチカが残存している。ペアで並んだ白樺が目印となる。以前は、ここから簡単にトーチカを見学することができたが、現在は旧道とトーチカとの間に柵が設置されているため、エゾシカを超えるジャンプ力がなければ見学できない。
というわけで、現実的には旧線路沿いの砂利道から藪漕ぎをしていかなければならない。赤枠で囲んだあたりに、汐見高台トーチカが残存している。2m以上の高さのススキが繁茂しており、ぱっと見では分からないが、旧線路の先は湿地となっている。今回の調査では長靴で何とか通過できたが、場所によっては深くなっているため、細心の注意が必要である。
※リスクが高いため、このルートでの見学はお勧めできません。高台にあるエゾシカ侵入防止柵の外側を260m藪漕ぎする方が、リスクは低いかも知れませんが・・・。
↑ 北側から見たトーチカの上部
手前側に出入口があるが、埋まりかけている。トーチカの左前方に、見つける際の目印となるペアの白樺がある。
↑ トーチカの出入口(2005年撮影)
この頃は、余裕で中に入れたが・・・。
↑ トーチカの出入口
現在は、すり抜けるのがやっとの幅しか開いていない。中に入る際に、全身が土まみれになるので、作業着が必須。
↑ 出入口の隙間から見たトーチカの内部
↑ 出入口から見たトーチカの内部(2005年撮影)
↑ 内部からみたトーチカの出入口
壁面に残る四角い穴は、扉を取り付けるためのもの。
↑ 砲座から見た出入口(2005年撮影)
火砲の出し入れを考慮して、背面出入口の幅は広い。不法投棄されたゴミの右側に、砲側庫がある。
※当時、地元の野崎様が現地を案内してくださいました。感謝申し上げます。
↑ 砲座から見た出入口
天井にコウモリがぶら下がっている。
↑ 出入口の壁面と砲側庫
↑ 砲座と砲眼
現在は床面が土砂で覆われてしまっているが・・・
↑ 砲座と砲眼(2005年撮影)
この頃は、火砲を固定するための駐鋤溝などが確認できた。
↑ 九二式歩兵砲
1932年(昭和7年、皇紀2592年)に制式採用された小型の大砲。歩兵大隊に2門ずつ配備されたため「大隊砲(大隊歩兵砲)」と呼ばれていた。クランク状の車軸を操作して砲身の高さを変えることで、平射と曲射が可能という特徴をもつ。
口径70mm 砲身長790mm 砲重量204kg 最大射程2800m 砲弾重量3.81kg(九二式榴弾)
※画像はWIKIMEDIA COMMONSより引用。
↑ 内部から見た砲眼
土砂に埋もれ塞がりかけている。
↑ 内部から見た砲眼(2005年撮影)
↑ 外側から見た砲眼
↑ 射界